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夏休みも残すところ、あと3日。学校の課題は終わらせた。
特にすることはない。
となれば、悠也の行くところは決まっている。
「佐野ン家でも行くか。」
佐野雷希。中学からの親友で、今も同じ高校に通っている。頭脳明晰、スポーツ万能、おまけに身長178㌢のルックス良しだ。こいつには敵わない。
しかし、唯一、勝るものがある。視力だ。佐野は裸眼で、両目0.04の近眼。俺は、2.0はある。
だからどうしたって感じだけれど。
午前10時頃、佐野家に着いた。
チャイムを押そうとした瞬間、タイミング良く、佐野家の玄関のドアが開いた。
「あら、悠ちゃん。おはよう。」
出て来たのは佐野の母である、桃子であった。
「雷希君いますか?」
悠也が尋ねた。
すると、
「雷希?ごめんなさい。ちょうど、今、出掛けたのよ。私はてっきり、悠ちゃん家に行ったのかと思ってた。どこに行ったのかしら。帰ってきたら連絡するよう言っとくわね。」
と、桃子はこたえた。
「ありがとうございます。それじゃ失礼します。」
「ごめんなさいね。それじゃ。」
そう言うと、桃子は家を出て、どこかへ行ってしまった。
「雷希、どこ行ったんだ?」
と、悠也は呟いた。
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