怪談A(雲骸)

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…そんなふざけたタイトルの、明らかなパチモン映画を雲雀は手に取った。   「ねぇ骸…これ、面白そうじゃない?」 真っ青な空、白い入道雲、サンサン降り注ぐ太陽、生い茂る草。「ぼくのな○やすみ」ばりに爽やかな夏の情景に全く溶け込めていない貞子。 そんなミスマッチと意味不明の代表例のようなパッケージを骸の方へ向ける。 それなのに骸は。 「あーはい。そうですね。借りたらどうです?」 とっても無関心だった。 こちらもチョコを貪り食いながら、明らかにパクリな「マフィアのママンたち」というDVDを手にとっていた。 それのあらすじを読むのに夢中で、雲雀と所在なさげな貞子に振り向きやしない。 雲雀は内心むかついたが、TSUTA○Aで喧嘩をするわけにもいかないので骸の首根っこをひっつかんでレジにずるずる引っ張っていく。 途中、「ちょっと!」だの「何するんですか!」だの聞こえたが、知らんぷりをした。   「ありあとあしたー」 店員にありがちな発音に見送られ店を出ると、ふてくされて無言でチョコを貪り食う骸の手を引いて家路へとつく。
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