怪談A(雲骸)

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  「ちょっともう雲雀くん!」 我が物顔でソファにふんぞり返って、骸は僕を睨みつける。 「何なんですか一体。僕はまだ何借りるか選んでな「骸、今から映画見るから」 文句をたれる骸を遮って、DVDプレイヤーに先ほど借りてきたDVDをセットする。 もちろん、貞子と僕らの夏休みだ。   読み込みが終了するとすぐに映像が映し出される。 田舎の、のどかな田園風景。 その真ん中に黒い、黒くてくねくね動く何かがいる。そしてそのくねくねは、体操選手もびっくりなロンダードでこちらに接近してきた。 「な、何ですかコレ…」 「貞子と僕らの夏休み。ホラーらしいよ。くだらなさそうで暇つぶしにいいでしょ」 話してる間にも画面はくるくる変わり、何が起こっているかは解らないが、血まみれの貞子がドアップで映し出される。 「ひっ…」 ぎゅっと、汗ばんだ手で腕を掴まれた。 「怖いの?」 そう聞くと骸は何も言わずにうつむいた。僕はそれを、イエスととることにした。 「意外だよ。君が怖いの嫌いなんて。好きかと思ってた」
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