ピーターパン(雲骸)

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  僕が22歳だった日。 雲雀くんが言いました。 「僕らは大人になっちゃったんだね」 彼にしては珍しいことでした。 なんだか、年を重ねるのを酷く悔やんでいるようでした。 「…大人になりたくは、なかったんですか?」 なんの気なしに尋ねると、彼は小さく溜息をついてソファに身を預け左手で顔を覆いました。 「…それ」 空いている右手で指差した先にあったのは。 テーブルの上にただ一つある、可愛いピンクの包み紙に包まれた小さなチョコレートでした。 「僕はある日を境にチョコが食べられなくなった」 いつ?と僕が聞き返すと雲雀くんは自嘲気味に笑いました。
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