256人が本棚に入れています
本棚に追加
「ヤですよ」
「なんで?折角作ったのに。骸君の好きそうなお菓子」
白蘭を睨みつけると、彼はにこにこしたまま反論をした。
その笑顔を殴りつけたくて仕方がない骸だが、後ろ手を縛り上げられた状態ではそんな芸当はできっこなかった。
「貴方が作った物は信用なりませんから。手に持ったソレがお菓子かどうかも怪しいですし」
あ~、酷いと頬を膨らます白蘭がなんだか不気味で、骸はガチャガチャと金属音を慣らしながら真っ白なベッドを降りた。
ただ、ベッドの足にくくりつけられ骸の足に繋がる鎖は短すぎてベッドの半径1m程しか動けないから無駄といえば無駄なのだが。
「ねぇ骸君、食べてよ」
骸の正面に移動した白蘭が骸の唇に茶色いお菓子を押し当てる。
「嫌です」
「世界にはね、食べたくても食べられない人たちが沢山いるんだよ。そんな中、骸君は僕に惨敗して殺されるべきところを生かされて、普通の部屋を与えられてご飯も食べられて、更にお菓子まで作ってもらったのに拒否するの?世界中の人たちに謝りなさい!謝りたくなかったら食べてよ」
白蘭が、日本一般家庭のお母さんのように世界の貧困を話題に出してお説教をするものだから骸はこんなのに負けた自分が情けなくなった。
「…食べたらいいんでしょう」
観念して口を開いた骸に白蘭は満足げな笑みを浮かべる。
「はい。あーん」
最初のコメントを投稿しよう!