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彼は表情一つ変えずに、教師らしからぬ行動や発言を悪びれた様子もなく淡々と話す。
きっとこういう人なのだろう。
鍵を壊してくれたのは有り難いが、あたしはこの場所を失う訳にはいかない。
例え彼が「もう来るな」と言ったとしても「解りました」と応じるつもりはない。
だが彼は何も言わず虚空を見つめていた。次の日もその次の日も、彼はいた。
「入れなかった」と言っておきながら、あたしが先に来ても構わず自分の居場所を確保していた。
会話をすることもお互いを気にすることもなく、あたしも彼も唯(ただ)そこにいた。
そして、学校内に響き渡る予鈴のチャイムを聞き、コンクリートの中へ続く扉へと変化したそれを、通り過ぎていく。
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