甘い匂い

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そんなわたしとユキオを 遠くで派手な女の子達が じいとにらんでいた ああ この人は すんごくモテるんだろなあ きりきりとなじる視線に 少しうんざりしながらつぶやく 「女の子たちが、おこってる」 ユキオはわたしの髪を そうっとかきわけて 目を細めながら耳の形を 調査しているところだった 「いいの 俺、他の子いらないから」 ユキオは満面の笑みで わたしの膝をぽんぽん たたいて首をかしげた 「ひじに絵の具ついてた」 「わたし絵を描くの」 「美術の子だ、俺は音楽の子」 わたしのひざを ドラム代わりに たかたか叩いている その正確なリズムに 動悸がとくとく重なって 体温が上がった気がした ゚
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