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「も、申し訳ありません。すぐに原因を調べ、御報告しますので」
受話器を握る僕の手は冷汗でビッショリ濡れていた。
消費者から《色が薄い》《味が薄い》等々、商品にクレームが多数届いたのだ。それも、TOKYO飲料の商品なので、クレームは全てTOKYO飲料のお客様センターに繋がるわけだ。
社長も電話連絡を受けたのだろう。真っ青な顔で事務所へ飛び込んで来た。
「和久っ!どうなっているんだ」
「今から調べる所だよ」
冷静さを装ってはいるものの、心臓はバクバクと高鳴っていた。
「返品なんてことにはならんだろうな。そんなことをしたら、うちは倒産だ」
「社長、落ち着いて」
「億だぞ!和久、億単位の損害になるかもしれんのだ!これが落ち着いていられるか!誰だ?いい加減な検査をした奴は?高千穂は工場長なのに何を見てたんだ!高千穂を呼び出せ!」
青ざめていた社長の顔色が怒りの赤ら顔に変化している。
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