下着と水着と僕（腐っても老舗編）

億のトラブル

帳票関係も僕が一手に引き受けてきた。その実績を評価してくれたのだろう。

視察を兼ねてやって来たＴＯＫＹＯ飲料の赤坂さんは、僕にこう言った。

「ここだけの話。部長が居なければ、前後２日・合計５日分は回収するつもりでした」

「えっ……」

まさか、本気で回収するとは思ってもみなかった僕は赤坂さんの一言に背筋が凍るような気分だった。

「経験者の部長だからこそ、こちらも安心してお任せすることができます」

「ありがとうございます」

「この前の社内試験の結果なんですが、部長のみ合格でした。おめでとうございます」

「あの、高千穂工場長は？」

「残念ながら不合格でした」

「部長が合格されたので、これからは部長の判断でお仕事を回して下さい」

社内試験の合格。これも回収騒ぎを封じた理由の１つだと言っても過言ではないだろう。