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それからヨミは毎日やって来た
もともと入院理由すら聞いていない龍平からすれば、いい暇つぶしになっていたから嫌じゃない
「おい、龍平」
「はいはい、何ですかお嬢さん」
まるで流すように返事をする龍平、毎回同じように話しかけられるものだから対応の仕方も決まってきた
「探検するぞ」
「はぁ!?」
突然の言葉に驚く龍平、ヨミの戯れ言と思い何とか説得するも頑固に押し切られた
そして今は、手術室の入り口横にある地下階段の扉に来ている
もちろん見つかれば即逮捕、看護士達の熱い説教が待っている
「なぁヨミ………そろそろ帰ろうぜ、見つかったら大変って………ヨミ?」
いつもならつっかかるヨミが何故か大人しい、まるで何かに呼ばれるように階段を降りる
仕方なく龍平も後を追う、階段を降りればそこには半開きの扉がひとつ
「さすがにヤバいだろ」
「龍平………先に帰ってて?」
息苦しいくらいの部屋に入るヨミ、いつもの覇気のある姿は無く、ただ、ただ何かを探すように辺りを見渡しながら歩く
「………まったく」
1人にするわけにいかない龍平は後を追う、部屋は何もない広い空間、電気はついていて明るいが妙に暗く感じる
バタンッ!!
扉が勢いよく閉まった、振り返った龍平はそのまま意識を失った
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