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「柳瀬川さん、朝の検温の時間ですよ」
気がついたら朝だった
地下では何かで後頭部を殴られたような気もするが、痛みは無かった
「体温計っててくださいね」
看護士はそう言って部屋を出た
看護士がいなくなるや龍平は部屋を追うように出る
「あの、米田梨恵は今どちらに?」
そう質問すると看護士は笑い出した
龍平からすれば意味が分からない
突然笑い出した看護士は、涙を浮かべながら言う
「昨日退院したじゃない、一緒に見送ったのに忘れたの?」
「え?」
そう言うと、看護士は再び歩き出し姿を消した
龍平にはヨミを見送った記憶は無い、と言うよりヨミを見送って無い
「どういう事だ?」
いろんな人に聞けど同じ返事が帰ってくる
退院したじゃない
まるで、決められた台本通りに皆が同じセリフを
ヨミ以外の話題には普通の会話、少しでもヨミに関わるとまた同じセリフ、一字一句変わらない内容、
「何なんだこれは………」
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