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龍平はその足で、例の地下への階段に向かう
「………無い」
地下への階段のあるはずの扉は、コンクリートに壁に変わっていた
「龍平君、何をしているんだね?」
そう質問してきたのは大川清嵩先生だった
精神科医である彼は、若くして病室を代表する優秀な医師であり、精神疾患で治せないものはないと言われるほどである
「ここは立ち入り禁止だよ?」
「すいません………ヨミの事で気になって」
「ヨミ?あぁあの子か、君が面倒見てくれたのだったね、さてはいろいろ振り回されたな?」
「はぁ」
「ははは、ヨミ君が何か落とし物でもしたのかな?どうせ探検だぁとか言って」
「はい、ここには無いようなので失礼します」
丁寧に礼をして、龍平は素早くその場を離れた
大川が見える位置で身を潜め観察する、気にかかる内容があったからだ
「大川さんだけ………セリフが違った」
今までは同じセリフばかり言う人物しかいなかったのに対し、大川だけは違うセリフを放った
もちろん大川以外の医者も同様に同じセリフを言ってたに関わらず
「ったく、あのガキは完全に記憶を失って無いのか?いや、こんな見当違いの場所を探しているんだ
多少は記憶が錯乱しているんだな?強運の持ち主………はたまた悪運か」
薬を取り出した大川は近くの看護士に話しかける
「こいつを龍平の昼飯に混ぜろ」
「え?あっ、わかりました」
一瞬戸惑うも大川の言葉に従って受け取る看護士、龍平は逃げるようにその場を後にして部屋に戻る
額には無数の汗
「はぁ………はぁ………、何だあの薬は………毒?」
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