始まりの朝

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ヤバい。 学園の登校時間は8時40分まで。たった1分でも過ぎると門は閉められてしまう。 この時間じゃあバスは無いし、全力で走っても間に合わない…。 ……仕方ない。アレを使うか。 できれば使いたく無いけど、こうなったらアレじゃないと間に合わないし。 私は電話を耳と肩で挟み、恋夏と話しながら、バッグに教科書とノートを無造作に詰め込み、急いで玄関へと走った。 『どうすんの!?あんた、遅刻なんてしたら、』 「分かってる。じゃあ、また後で」 それだけ言って、私は電話を切った。 ……確かに恋夏の言う通りだ。今の、『東雲晴飛』にとって、遅刻はタブーの一つ。 本当の、【東雲晴飛】にはどうでもいい事だけど。  
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