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検査は年齢順だった。高年齢の者から検査室となっている応接間に向かっていく。よって必然的に睦月は一番最後だ。
睦月たちは仕事をしながら、自分の順番がこないかちょくちょく確認していた。
そんな、日曜日の真昼間。
「あはははは!!!ははっはははははは!!!じ、じゃあ、睦月今女の下着つけてるんだ?」
「見ます?」
睦月はもう開き直っていて、メイド服のスカートを持ち上げて爆笑する高雅に水玉のパンツを見せた。
「あっはっはっは!!!!」
高雅はテーブルを叩きながら笑った。
「ハハハ」
睦月はもうどうでも良くなり窓を拭きながら高雅と一緒に笑った。
「叔母さんも面白いこと考えるなあ」
「胸は成長が遅れてることにするらしいですよ」
「あっはっはっはっはっは!!!」
「……いくらなんでも笑いすぎですよぅ…………」
睦月は雑巾を絞りながら高雅に言った。
「はーおかしい、僕は学校でもこんなに笑わないのに」
「…………」
確かに、普段の高雅はクールで笑わないイメージがある。
「睦月はスゴいね」
高雅はニッコリ笑って睦月に言った。睦月はなんと返せば良いのか迷った末、
「は、はあ………どうも」
とだけ言った。コンコン。
ドアがノックされた。
「どうぞ」
高雅が答える。
「失礼します」
入ってきたのは咲だった。
「睦月ちゃん、もうすぐ視力検査の順番が回ってくるよ」
「あ、うん。ありがとう」
「行ってらっしゃい、睦月。健闘を祈ってるよ」
「………うぅ………」
睦月はうつ向きながら、高雅の部屋を後にした。
「今回は検査の順番が進むのが早いみたい。実はあたしも1回しか受けたことないんだけど」
咲が睦月と一緒に歩きながら言った。
「検査ってどれくらいの頻度であるの?」
睦月は聞いた。できることならそんなにしょっちゅう受けたくない。
「半年に1回かな。春と秋に」
「そ、そうなんだ」
「うん」
「検査の内容は?」
「視力・聴力の検査に身長、体重、座高をはかって、それから血圧と血液検査でしょ、それに心臓のレントゲン撮って最後に先生の問診」
「ふ、ふーん」
睦月は焦る。ヤバい。ヤバすぎる。確実にバレる。
「先生は、どんな先生なの?」
「ん?いつもはね、変態みたいにハァハァ言ってやたらと体触ってくる気持ち悪いヤツなんだけど、今回はカッコよくて結構適当な先生らしいよ」
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