身体検査を始めます。とりあえず脱いでくれるかな?ブフゥッ!!

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睦月にとってはその方がありがたかった。 咲と一緒に第一応接間に入ると、右側で視力検査、左側で聴力検査をしていた。 睦月は咲と一緒に視力検査の列に並ぶ。 「雅咲さんと柊睦月さんで合ってますか?」 (看護婦さんだ!!看護婦さんがいる!!) 睦月は驚いた。 メイドがいるのだからナースがいてもおかしくなどないのだが。 「合ってます」 「この紙を持って検査を回ってくださいね」 「はぁい」 睦月は渡された紙を見る。 視力聴力、身長体重座高etc...の記入欄が書かれていた。 咲の前に並んでいたるなが、片目を隠しながら振り返ってきて言った。 「あたし視力落ちたかもォ」 「そうなの?るなちゃんインディアン並みに目良かったのに」 咲が言った。 「もう2.0見えないかも…」 「遠山るなさーん」 「はぁーい」 るなはナースに呼ばれて視力をはかりにいってしまった。 「睦月ちゃん睦月ちゃん」 「? なに?」 咲は睦月に擦り寄りながらニヤニヤして言う。 「身長競争しようよ」 「え?」 「あたしたち同じくらいじゃん?どっちが高いか白黒つけようよ!」 「いいけど……私たぶん145センチくらいだと思う」 睦月は言った。背が低いのは睦月のコンプレックスだった。女子の中でも低い子と同じくらい低いのだ。背の順はいつも一番前だった。 「あたしも145センチくらいだと思う!全然伸びなくてさぁ」 「もう少し大きくなりたいよね」 「なりたい!あたしの理想は麗羅さんくらい!」 「麗羅さんて170センチ近くあるんじゃない?」 麗羅は、睦月からは見上げるくらい大きい。 「たぶんねー」 「雅咲さーん」 「はい!」 咲は名前を呼ばれ、黒いスプーンのような目隠しを受け取って視力をはかりにいった。 最後の睦月は一人、渡された紙を眺めていた。 (僕ももう少し大きくなりたい。高雅様くらいは……) 高雅の身長は175センチといったところだろう。至って平均並みだ。それには睦月はあと30センチも大きくならなければならない。 「はぁ………」 落ち込む…。 「柊睦月さーん」 「はい」 聴力検査に向かう咲が、すれ違い様に、 「思ったより、見えない」 と謎なアドバイスをくれた。 「じゃあまず左目隠してくださいねー。これは?」 「下……右……右」 「はーい反対にしてください」 「左……上……右」
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