身体検査を始めます。とりあえず脱いでくれるかな?ブフゥッ!!

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睦月は紙で自分の視界を遮って、出来る限り周りを見ないようにしながら心臓のレントゲンの順番を待った。 (もう早く終わりにしてよ~!!) 「次の人どうぞー」 「! はい、はぁい!」 睦月は手を上げて言った。 「何だよ、睦月ずいぶん嬉しそうだな」 麗羅の声を背中で聞いた。そりゃあ嬉しいってもんだ。一刻も早くこの女の園から抜け出さなきゃならないと必死なのだから。 「じゃあここに顎当ててね。腕はこう。はい、じっとしててね。撮りまーす」 ガシャン。 やや大きめのシャッター音がして睦月は解放された。 急いでメイド服を着て第二応接間から出た。 「はぁ………僕、心臓悪いかもしれない」 睦月は呟きながら第三応接間に向かった。 コンコン。 「どうぞ」 「失礼します」 睦月はノックしてから応接間に入る。そこには一人の医者と一人のナースがいた。 「紙を」 言われて睦月は医者に紙を渡す。確かに言われてみればカッコ悪くもない医者にすすめられ、医者の正面の椅子に座った。 「柊…睦月さん?」 「はい」 「最近調子はどうですか?」 「いいです」 「顔色もいいですね。過労の心配は?」 あります。 睦月は正直そう答えたかった。学校が終わってから夜10時の就寝まで休みなしだ。でもそれは他のメイドたちも同じことだったし、梨音なんかは11時になったら毎晩高雅にホットミルクを届けてから眠る。睦月だけが飛び抜けて周りより働いているということは無かった。 「ないです」 「………本当に?」 「…!」 医者が睦月の顔を見つめた。 (う………なんか見られてる) 「あああの、ぼ、…私、最近ここで働き始めたばかりで………ちょっと疲れてるけど、周りの人よりたくさん働いてるってことはないんです」 「そういうことでしたか」 医者は睦月の紙にすらすらと何かを書く。 「まだ君は働くには幼すぎる。大人より体力がないのだから、無理をしてはいけないよ」 「………はい」 「僕と約束できるかい?絶対に無理しないと」 「…………………できます」 「沈黙が長かったね」 「いえ………」 「無理してはダメだよ」 「はい………」 「じゃあ問診は以上。今日は検査お疲れさまでした」 「ありがとうございました」 睦月は医者にペコリと頭を下げた。
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