小学生?大丈夫よ、うちでは小学生も雇うから。

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「でも、そんな、そんなの、怪しすぎる」 睦月はランドセルを両手で抱えて桜子を見た。 「日給20万なんて、ありえないの、僕にだって分かるもん」 「それだけの財力がある由緒正しいおうちなのよ。もし睦月くんが引き受けてくれるなら、日給20万と引き換えに、厳しいしきたりを全て守ってもらわなきゃならないけどね」 「…………」 「まだ信用できないようね。ならあなたの働こうとしているおうちがどんなに大きいか、今から見せてあげる。それには、これに着替えて」 「え、あの、これって………」 睦月は渡された服を広げて持ち上げて見てみる。 「見て分からない?ワンピースよ」 「…………あの、なんで……?」 「いいからこれを着なさい。あぁ、見られるのが恥ずかしいなら外見てるから」 「…………」 どうやら話の流れ的に着替えるしかないようだ。睦月は仕方なく服を脱ぎ、渡されたピンクのワンピースを着た。 「……あの、着れました」 「そう?まぁっ!」 桜子は振り返るなり感嘆の声をあげた。 「とっても似合うわよ~!!!」 男の睦月が女の服を着て似合うと言われてもあまり嬉しくなかった。 「は、はぁ…」 睦月はため息をもらした。 「桜子様!」 「分かった。さあ、もう着くわよ。右側を見て」 睦月は窓に張り付いて外を見る。 「うわあ!」 そこにはまるでマンガの中のような大きな屋敷が横たわっていた。 睦月の通う小学校が軽く2、3個は入ってしまうだろう。 「お、大きい……入り口はどこですか?」 「まだ先よ」 「遠いんですね……」 屋敷の入り口の仰々しい門を車で通り、屋敷自体に着くまでにまた時間がかかった。広すぎる庭だ。 「さあ、着いたわよ」 車が止まり、ドアが開いた。 (スゴい、自動だ!) 「こっちよ」 「は、はい!」 睦月は桜子の後を追って車の外に出る。すぐ目の前にある階段を10段上ると、重そうな扉がそびえ立っていた。 桜子はそれを押して開ける。 「「「「「お帰りなさいませ」」」」」 「ただいま」 (うわ~!!!) 扉から続くレッドカーペットの両脇にズラリと並んだメイド、メイド、メイド。執事はいないようだ。 「応接間は使える?」 桜子がメイドの一人に聞いた。 「はい、ご使用になれます」
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