小学生?大丈夫よ、うちでは小学生も雇うから。

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「あたしの仕事は2階西棟のはき掃除。各部屋の出入り口は汚れてることが多いから、念入りにね」 「うん」 睦月も箒を渡され、咲と一緒にはき掃除を始めた。丁寧に、丁寧に。 「睦月ちゃんはどこ小なの?」 「黄蘭(オウラン)西小学校だよ」 「えー!?本当!?あたしも黄小出身なの!!」 「え!じゃあ野ブタ先生とか知ってる?」 「知ってるー!!ブタ信田!!」 「ぼ……私、いま野ブタのクラスなんだ」 「へえー!!偶然だねえ!!あたしも去年野ブタのクラスだったよ!」 「そうなんだ!」 「ぷっ…アイツ卒業式のとき生徒の名前呼ぶのに舌噛んでさー!もう爆笑だよ!」 咲はとても明るくて話しやすい女の子だと睦月は思った。普段あまり女の子と話せない睦月だったが、咲なら大丈夫そうだ。 「睦月ちゃん、シフトは?」 「しふと?」 「お仕事の時間割みたいなの。桜子さんから聞かなかった?」 「ううん、聞いてない」 「あれ?じゃあ泊まり込みかな?おうちには帰らなくていいの?」 「あ………うち、孤児院だから」 「あっそうだったんだ……ごめん」 「ううん、いいよ。いいところだとぼ……私は思ってるし」 「じゃあきっと泊まり込みで仕事だよ。あたしは通いだから良く知らないんだけど、夜は早く、朝も早く、がモットーみたい」 「朝も早く……起きられるかな」 睦月は下を向いてしまった。早起きは苦手だった。でも仕事のためだから仕方ない。日給20万のためなら早起きだってしてやる! 「この辺キレイになったから次の部屋行こっか」 「うん」 睦月と咲は次々とはき掃除をこなしたが、それでも仕事が終わったのは夜8時を過ぎていた。 「睦月ちゃん。あたしはこれで帰りなんだ。代わりに麗羅さんに引き継いでもらうね」 「? うん」 「あ、いたいた。麗羅さーん!!」 「ん?おー咲。お疲れ」 咲は1階のレッドカーペットに掃除機をかけていた高校生くらいの女に声をかけた。 「麗羅さん、こちら、柊睦月ちゃん。今日から住み込みで働くらしいの」 「おーそっかそっか。睦月、あたしは沢山麗羅(サワヤマレイラ)。高2だよ。ここで住み込みで働いてるんだ」 「柊睦月です、よろしくお願いします」 「咲と同じでちっこいなー」 「余計なお世話ですっ!麗羅さん、あたし今日もう帰りなんで、睦月ちゃんの世話頼めますか?」
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