僕の席

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お昼休み、図書室から教室に戻り、5時間目の国語の準備をする。 机の中から取り出した筆箱を開けると、中にセミの脱け殻が入っていた。 ギョッとして身をのけぞらせると、あちこちから、待ってましたとばかりに『クスクス』と笑い声が聞こえてきた。 気にせず、セミの脱け殻を窓の外に投げると、風に舞って落ちていった。 後ろの飛び蹴り稲本君が 『山中ぁーセミの脱け殻なんかにビビんなよぉー!』 と言って足で僕の椅子を蹴飛ばした。 今日はどんなに蹴飛ばされたって答えなんか教えてやらない。 そう心に言い聞かせ、またぼんやりと窓の外を眺めた。 ――娘なのか?――…
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