雨の日

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2時になる頃には雨はすっかりやんでいた。 数学の井ノ原先生は、授業が始まると、今日の公式を一通り教えて、後は用意したプリントの問題をひたすら生徒に解かせる。 その間、井ノ原先生は本を読んでるか、頬ずえをついて気付かれないように居眠りしている。 とんだ手抜き授業だ。 授業の残り時間が15分になると、適当な生徒を指して答え合わせをする。 僕は問題の見直しも終わり、また窓の外を眺めた。 灰色の雲が引いて、青空が覗く。 さっきまでの雨がキラキラと日に反射している。 12時20分の彼女は現れない。
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