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クドいようだけど、目が覚めると、そこには王子様が…
「おや、目が覚めましたか?」
本当にいた。
彼は眼鏡の奥の優しい瞳でにっこりと微笑む。
「あ…あの…?」
いまいち、状況を飲み込めずにいると、王子様は微笑みを崩すことなく、その口を開いた。
「始業式の途中に倒れられたので、保健室にお運びしたんですよ」
そうだった!
私、急に目眩がして…
倒れてしまったんだ。
「あの、ありがとうございました。迷惑かけてすみません…」
「お気になさらずに。ご気分はいかがですか?」
その時。
それはもう盛大に、お腹の虫が泣き叫んだ。
「あ‥‥‥」
「おや」
気まずい沈黙が続く。
もっとも、気まずそうにしているのは私だけだけど。
…実は、私が倒れた原因は、この空腹にある。
昨日の夜から何も口にしていないからだ。
何故かって、お兄ちゃんと喧嘩して、意地張ってご飯を食べなかったっていう、くだらない理由なんだけど。
耐えきれず、体が音を上げたというワケ。
でも…
こんな王子様に介抱して貰えるなら、いくらでもご飯抜くよぉ~~~っ!!!!!
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