359人が本棚に入れています
本棚に追加
「なんだ…ずいぶん近くに住んでるんだな」
「うん、すすきのまで歩けるからすごく便利。
あっ!その白いマンションの前で止めて」
健司は車を止めた
「健ちゃんありがとね。
またブルーで会ったら一緒に飲もうね」
私は車のドアを開けかけた
「上げてくれないの?」
「えっ?何?」
「部屋に上げてくれないの?」
「私奈美と2人暮らしなの…さすがに男の人を家に上げるのはお互いルール違反だし」
「じゃあホテル行く?」
「あの…健ちゃん…」
「俺の女にならない?
初めて会った時から気になってたんだ…」
健司の突然の告白に私は戸惑いながらも嬉しかった
「ブルーで一緒にいた女の子は彼女じゃないの?」
「組の付き合いだよ。
お前俺と付き合うなら女関係でいちいち嫉妬してたらもたないぞ。
ヤクザに女は付き物だ。
色んな絡みで色んな女と知り合う。
いつか何かの役に立つかもしれないから誰とでもすぐ知り合いになる。
そんな世界だ。
でも俺は惚れた女としか付き合わない。俺と付き合いたい女はこのすすきのにゴロゴロいる」
わかる気がする
健司は話しがうまい。
相手を飽きさせないし警戒心を持たせない不思議な魅力を持っていた
それに加え顔も人並み以上で背も高い。
健司に惚れてる女がいても不思議ではない。
「千恵…俺は必ずでかくなる。
このすすきので俺の事を知らないやつがいないぐらい力をつけていつか自分の組を持つ。
お前は俺に付いてこれるか?」
今考えると馬鹿みたいな話しだが、当時まだ21歳の私は世間知らずの子供で健司の言葉に酔いしれていたんだと思う
「本当に私は健ちゃんの女になるの?」
「そうだよ」
「他に付き合ってる女の子とか絶対にいない?」
「いるはずねーだろ。ヤクザって意外と忙しいんだよ。
チンたら女と遊んでるほど暇じゃねーよ。
千恵、ホテル行くのか?それともこのまま帰るのか?」
少し迷って私は開けかけた車のドアを閉めた
それを合図に健司は慣れた様子でラブホテルの密集してる路地へ入って行った
私は健ちゃんの女なんだ…
自己陶酔していた自分を今もハッキリ覚えてる
最初のコメントを投稿しよう!