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次の日、ブルーに9時ちょっと前に行くと店は結構混んでいた
「千恵ちゃんいらっしゃい1人?奈美ちゃんも来るの?」
「奈美じゃないけど待ち合わせなんだ。後でもう1人来る」
カウンターに座り時計を見ると9時にあと15分位だった
その時「健司!久しぶりじゃん!全然連絡くれないんだもん、一緒に飲もうよ!」
振り向くと入り口に一番近いボックス席に座っていた派手な2人組の女が健ちゃんに馴れ馴れしく話しかけていた
内心面白くない…
健ちゃんの彼女は私。
彼女の前でベタベタするなんて嫌な女!
「今日は連れがいるんだ、また今度な」
健ちゃんはカウンターの私の隣の席に座った
女はこっちを睨んでる
たまらない優越感だった
店の従業員達は驚いた顔をしている
「千恵ちゃんの待ち合わせって健司さんだったの?」
「なんだ、千恵は俺と待ち合わせって言ってなかったのか?お前ら、千恵は俺の女だから粗末な扱いするなよ。
変なナンパ目的の男とかにも近付けるな」
「はい!わかりました!」
その日からブルーの従業員達は私を姫のように扱ってくれた。
そんな扱いを受けてケチケチ飲んだら影で笑われてしまうんじゃないかと不安になる
それに私は健ちゃんの女…
健ちゃんに恥をかかせちゃヤクザの女として失格だ
ブルーはとにかく安い店でボトルも2500円~とかなりリーズナブルだ
私はブルーの客ではほとんど飲む人がいないお酒を格好つけてボトルキープした。
ボトルの札には健ちゃんの名前を書いて「もし組関係の人が来たらこのボトルを出してね。
なくなったら入れていいから。
連絡くれたら次の日に私がお金を払いに来るから心配しないで」
こうやって健司の立場を持ち上げるのがヤクザの女の使命なんだと私はだんだん洗脳されていたのかもしれない
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