きりたんぽ鍋

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 タクシーを見送ってから気がついた。  雪が、やみかけていた。   「いいわね。友達って……」   「そうか? 懐かしかっただけかもしれないけどな」   「そうかしら?」    さっきまであれだけ雪が降っていたのに、道路から家まで綺麗に雪かきがされていた。  きっと今の今まで、親父がやっていたんだろう。  思わず、その姿を思い浮かべて笑った。   「パパ、パパ! いい匂いがするよーっ!」   「あら、ほんと。お父さん、きりたんぽ鍋用意してるって言ってたわね」   「ああ、そう言ってたな……」    その匂いは、あの時のきりたんぽ鍋と同じだった。  ばあちゃんが作ってくれた、鳥っこの出汁が効いたきりたんぽ鍋と。      おらは玄関の扉に手をかけ、勢い良く開けた。  そして、元気良く叫んだ。   「父ちゃん、ただいまー!」   (了)image=189960093.jpg
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