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作り終えたたんぽを囲炉裏端さ差していくと、ちょっとご飯の焦げた匂いがした。
パチパチという音とがして、たんぽの表面が狐色さ変わっていった。
ジジジジジジジジ――――ン
ジジジジジジジジ――――ン
電話が鳴った。
静かだったこの家さ大きな音が響いて、思わずびっくりした。
「はいはい、ちょっと待ってけれな」
ばあちゃんは『えっこらしょ』と腰を持ち上げると、頭の手ぬぐいを締め直して、受話器を取った。
今気が付いたけど、ばあちゃんのどんぶくの裾がほつれて、中の綿が出てきていた。
「政夫、政夫。電話だど」
「誰がら?」
「父ちゃんがらだ。はよう、出れ」
「んだば、わがった」
ばあちゃんが、おらを呼んだ。
神奈川からの電話は遠くて、公衆電話からかけてきたからか、あまり話す時間も長くなかった。
「はい、電話代わったど」
『政夫、元気にしてたか?』
「うん、元気なばしてるけど……今日な吹雪で、大変だったなだ」
『そりゃあ、大変だな。今年は雪、多いんか』
「んだな。雪、すんげぇ多くてよ。家ん中も暗くて大変だ。屋根変えだべ? したらまんつ寒んびして、こたつから出だぐねべった」
『んだが、んだが。こっちは雪降らねえから、あんまし分かんねえからな』
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