0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「いっぺぇ、食べれな」
「うん、わがったっ!」
ばあちゃんが、鍋からきりたんぽをよそってくれた。
地鶏と野菜、そして舞茸のダシがきいた熱そうな汁が、きりたんぽさしみっていた。
「はふっ、はふっ……んんっ」
一つ、口の中さ入れる。
きりたんぽの中から染み出た汁が、美味しかった。
「あっちーけど、やっぱうめぇなー!」
「あんまり急がねぇで食えな。いっぺぇ、あるがら」
しわしわのばあちゃんの顔が、にっこり笑った。
その顔さつられて、おらも笑顔さなった。
おらは皿さ盛られたきりたんぽを平らげると、ばあちゃんさ『おかわり!』と言った。
「おらな、こうしてきりたんぽ食いながら、こごでずっと暮らしていげだらいいなーって思うんだ」
「そんたごど言わねぇで、仙台が東京さ嫁探しにでも行げ」
「街さ?」
「んだ。おめえの父ちゃんも、そうやってきたなだがら。したらな、まだこっちゃ戻ってこい」
ばあちゃんは、もう一つきりたんぽをすくい、おらさ手渡した。
パチンと炭の火が弾けて、天井さ灰が舞い上がった。
外の雪と風が強くなってきたのか、家をカタカタと揺らしていた。
最初のコメントを投稿しよう!