きりたんぽ鍋

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「いっぺぇ、食べれな」   「うん、わがったっ!」    ばあちゃんが、鍋からきりたんぽをよそってくれた。  地鶏と野菜、そして舞茸のダシがきいた熱そうな汁が、きりたんぽさしみっていた。   「はふっ、はふっ……んんっ」    一つ、口の中さ入れる。  きりたんぽの中から染み出た汁が、美味しかった。   「あっちーけど、やっぱうめぇなー!」   「あんまり急がねぇで食えな。いっぺぇ、あるがら」    しわしわのばあちゃんの顔が、にっこり笑った。  その顔さつられて、おらも笑顔さなった。  おらは皿さ盛られたきりたんぽを平らげると、ばあちゃんさ『おかわり!』と言った。   「おらな、こうしてきりたんぽ食いながら、こごでずっと暮らしていげだらいいなーって思うんだ」   「そんたごど言わねぇで、仙台が東京さ嫁探しにでも行げ」   「街さ?」   「んだ。おめえの父ちゃんも、そうやってきたなだがら。したらな、まだこっちゃ戻ってこい」    ばあちゃんは、もう一つきりたんぽをすくい、おらさ手渡した。  パチンと炭の火が弾けて、天井さ灰が舞い上がった。  外の雪と風が強くなってきたのか、家をカタカタと揺らしていた。
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