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それは、学校をサボりがちだった俺が、なんとか進級できた喜びを感じながら過ごしていた、春休みの出来事だった。
特にすることもないので、部屋でゴロゴロしていると。
「礼人~、ちょっと!礼人ー!降りてきなさいー。」
母親から召集がかかった。
急いで階段を降り、リビングへ向かう。
「なんだよ、母さん?」
母さんはキッチンの前に立っていて、俺の姿を見て微笑んだ。
「おつかいに行ってきてほしいのよ。」
「おつかい?」
「そう、お父さんが働いていた研究所に、お父さんの私物が残ってたらしくて、取りに行ってほしいのよ。」
「おつかいなら、信子に…」
俺はそういいかけて息を飲んだ。
「そういうこと、じゃお願いね。」
母さんは微笑んだ。
「あぁ、分かった。昼飯までには戻るよ。」
「じゃ、一緒にご飯食べましょうね。」
「あぁ。」
というわけで、俺は親父が働いていた研究所に行くことになった。
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