交錯する気持ち

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健人の友達はけっこう話上手で、会話は弾んだ。彼は、いろんなことを話した。 「あははっ。面白いですね」 「ありがとう」 そう言って、彼は笑った。 「彼女はいるんですか?」 気になって、私は尋ねた。 「いますよ。でなきゃ僕と君が一緒にいたら彼氏に怒られちゃうでしょ?」 そう言って彼は笑った。 健人が頼んだのだから怒るのもおかしな話しのような気がするが。 「へぇ。彼女はどんな人なのですか?」 「僕にはもったいない人です。可愛くて頭も良くて人気もある」 話しを聞くと、彼は彼女をとても愛しているようだった。 私は微笑ましくて笑ってしまった。 気がつくと、私達は人気のない小道を歩いていた。 あたりは木々が生い茂り、森の中にいるようだった。 話しに夢中で、帰り道から逸れているのに気がつかなかった。 「それで彼女は……」 彼は話し続ける。彼女の話しになると、すごく生き生きした表情になっていた。 「……だから……」 彼が急に話すのをやめた。 木々が風もないのにざわついた。
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