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「えっ?」
彼の声が聞き取りづらくて私は聞き返した。
私を無視して彼は鞄を開けた。
そして、中からでてきたのはナイフだった。
彼は口を開いたままの鞄をおろし、ナイフの鞘を外した。
冷や汗が背中を流れた。
彼は急に表情を失っていた。
彼は冷酷な瞳を私に向けた。
「死んでください」
彼が言い放った。
ゆっくりと私に近付いて来る。逃げなきゃ。体が動かない。
彼はゆっくりと近付いてくる。
「や……やめて……」
蚊の鳴くような声しかでなかった。
「なんで……?」
彼は歩みをとめた。
「理由は先程話したはずですが」
彼は手にしていたナイフに視線を向ける。
ナイフは冷たく光った。
人は誰も私達以外いない。暗い雰囲気が漂う空間だった。
彼が私にゆっくりと歩み寄る。
私は死ぬのか……
やだ!死にたくない!
しかし、体が動かない。
彼がもう手の届くところにいた。ナイフが私の首にあてられた。
じわりと首筋から血が流れたようだ。
「さよなら」
彼は言って、ナイフを振り上げた。
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