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寺脇君は素早く僕を押さえ付ける。僕はバランスを崩して、地面に倒れる。悲鳴と叫び声がその場に消える。
寺脇君が僕の上に飛び乗った。
手足を押さえ付けられて、僕は身動きがとれなくなった。寺脇君はすごい力で僕の腕を押さえ、余裕の表情を浮かべた。
僕は……どうなってしまうのか。
僕はどうなってもいい。でも……
遥だけは……
「頼む……遥だけは助けてくれ……」
僕の口からはか細い声しかでなかった。
すると、寺脇君の表情が少し歪み、僕を押さえ付けていた力も少し弱くなる。
「遥って……誰だよ?」
寺脇君は言った。
「誰ってそこにいる……」
寺脇君は僕の顔を向けたほうを見る。
困惑した表情になる。
「……誰もいないじゃないか」
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