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毎日、僕と遥は歩いて学校へと向かう。でも、一緒に行くのは途中まで。それからは別々に学校へ向かう。
これも、付き合ってることがバレないようにするためだ。
そして、今朝も、僕と遥はいつものように通い慣れた道を歩きながら、いろんな話をした。
ありふれた会話の中、遥が少し黙った。
「どうした?」
僕は問う。
「あのさ……ひとつお願いしていいかな?」
「いいよ。何?」
遥はためらっているようで、なかなか言葉がでてこない。そして、遥の口は開かないまま、いつも別れる場所に来た。
「あのね……」
遥は決心したようで、口を重そうに動かした。
「私のために人を殺して……」
「うん。いいよ。誰を?」
僕は頷いた。
少しだけ遥の表情が和らいだ気がした。
「……ありがとう。あのね、私と同じクラスの京子っていう子……」
何度か見たことがあった。活発そうな女子だ。
「わかった。じゃあ、帰りにまたここで」
僕はそれだけ言って、持っていたものを鞄に入れて、駆け出した。
すぐ前に昨日会った、友達の寺脇君がいたので、馬鹿話でもしようと僕はそいつの肩を叩いた。
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