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健人はあんなお願いを言ってからも、変わらずに私に接してくれる。
それが嬉しかった。
その日も夜まで健人と一緒にいて、私はまた健人に送ってもらうことにした。
どんなに暗い夜道でも、健人がいるとすごく安心する。
私と健人が歩きながらたわいもない話をしていた時だった。
「よぉ!今夜も会ったな」
前から歩いてきた人影が健人に話しかけた。見ると、その人は朝、健人と一緒に話していた高校の友達だった。
健人がしまったという顔をする。私達が付き合っていることを知られたくないからだ。
「お、おう……」
健人は曖昧に返事をする。
健人の友達はこちらに近付いてきて、私に気がつく。
すると、少し表情が歪んだ。驚きと悲しみを同時に孕んだ表情だった。
「……彼女?」
「……まぁそんな感じ」
「……そっか」
何故かその人は黙り込む。
健人も黙り込む。
何故か嫌な沈黙が流れた。
ふと私は健人の知り合いが何かを手に持っていることに気がついた。暗くてよく見えない。
健人もそれに気付いたようだった。
「お前……」
健人が口を開いた途端、相手が遮るように喋った。
「俺、急がなきゃ!じゃあな」
健人の友達は逃げるように帰っていった。
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