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サラは手に何かを持っていた。
『それは何?』
「これ?ああ、これはね、真の時計って言うの。」
『真の時計?』
「これは、今自分がいる場所の正確な時間を示してくれる絶対的な時計よ。」
サラは真の時計を見つめていた。
「真の時計が狂う事はあり得ない。だとしたら考えられるのは一つ、私達は本当に時間をさかのぼったんだわ。」
『でもそんな事が・・・・。』
「出来る。理論上ではね。時差って、分かるわよね?」
『それは常識だろ?』
「ええ、15度移動する毎に一時間時差が生まれる。」
『まさか!そんなわけ!』
「それ以外考えられないわ。夢馬は文字通り、無駄にした時間を取り戻してくれたのよ!」
『ありがとう。夢馬。』
俺は夢馬の頭をやさしく撫でた。
夢馬は短く鳴いた。
「さてと、夢馬が取り戻してくれた時間を無駄にしない為にもさっさと行くわよ。」
サラはすたすたと歩き始めた。
『あ!ちょま!』
俺はその背中を夢馬に手をフリながら追い掛けた。
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