健ちゃん先生の猫講座

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健ちゃん先生の猫講座

ヒトガタ?と素人丸出しで聞き返した佐倉を見て、小林―…健一は大袈裟にため息をついた。 「お前、ほんまに素人やねんなぁ。いまどき猫の生態なんか子供でも知ってるで?」 手近にあったレポート用紙に、読みやすいが汚い字で文字を綴り始める。 ・仔猫 ・成猫 ・ヒトガタ どうやらみっつの項目に分かれているらしい。 「仔猫…っちゅうのはこいつのことだよな」 温かいクッションの中眠る仔猫を指差すと、健一はうむと頷いた。 「主食は猫用ミルク。と猫の缶詰めってとこやな。生まれて半年…発育が悪いと一年までがこう呼ばれるんや。」 健一が仔猫の欄の下に、月齢と主食を書き込んでいく。 「そんでな。ここからが本題やけど、猫っちゅうのは大きくなったらヒトガタになれるんや」 「ヒトガタ?どんなよ」 さらに聞き返した佐倉のために、小林は簡単に人間を描いて、それにねこの耳としっぽを足した。 「こんなん。ヒトガタの外見年齢は人間における16~30前後や。おじいちゃんやおばあちゃんのヒトガタはおらへん」 ふうん。と頷いて猫と絵を見比べる。こいつはどんなヒトガタになるんだろうか。 「ヒトガタになってるときは食べ物は人間と同じでええんよ。あと…佐倉に気を付けてほしいのは、連れ去られんようにってことやな」
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