すてねこ

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僕らの遥か上の方で、外に繋がる蓋が閉じられた。 僕たち兄弟は寄り添って、閉ざされる未来をただ見ていた。 視界が真っ暗になる。 とたんに心細くなった僕が、出して貰おうと鳴くと、壁を殴られた。 パニックになって壁を引っ掻くと、ガタガタと揺らされた。 顔も名前も知らない飼い主さん…飼い主だった人は、僕らに名前すらつけてくれない。 にゃあにゃあと僕がわめくと、彼は暗い声で僕を脅した。 「今すぐ殺してもいいんだぞ」と。 『…おとなしくしなよ。』 名前も知らない兄弟が、諦めたみたいに呟く。 僕らは寄り添って、寒さに震えていた。 兄弟の白いふわふわの尻尾に顔を埋めると、兄弟も僕のお腹に顔を擦り寄せてきた。 静かになったのを確認したんだろう。 バリバリと、何かを剥がす音がして、隙間なくぴったりと蓋が閉じられた。 少し、息苦しい…。 抵抗しようとする僕の手を、兄弟が止めた。 諦めるしかないのかも。 もう、委ねるしか… …そして僕らは、水音と共に川に投げ込まれた。
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