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「……いくぞ!」
壱夏は刀を構え、そのまま巣へと走り出した。
すると、待ち構えていたかのように、巣から先ほどのような蜘蛛の魔物が次々と飛び出し、前足を触手のように伸ばし、壱夏に襲いかかる。
「チッ……数だけは多いな……!」
壱夏は刀を一振りし、近づいた前足を切り落とすのだが、それでも落としきれなかった数本が体中に突き刺さった。 しかし急所は避け、ダメージを最小限に抑えてひたすらに突き進む壱夏。 刀からは轟々と炎が吹き出し、その悪魔とも鬼とも見えるような姿に恐れをなしたのか、魔物たちは散り散りに後退し始める。
「蜘蛛の子を散らすってか……! 逃がさないぜっ!」
壱夏は思い切り刀を振りかぶり、群れへと向かってブーメランのように投げつけた。
炎を纏った刀は美しく円を描き、手当たり次第に魔物を切り刻み、そして火を点ける。
「グォォォッ!」
火だるまになった魔物たちは狂ったように叫び、悶え苦しむ。 刀は巣に突き刺さり、そして炎上した。
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