1~暁~

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1~暁~ 「きゃぁぁっ!」 薄暗い森に、少女の悲鳴が響き、それと同時に肉を潰すような、骨を断つような、音がした。 それきり、少女の声は途絶え、森は静寂を取り戻した。 風音一つなく、鳥すら鳴かない森で、そこから少し離れた所に男が1人、歩いている。 黒い、長い髪を後ろで三つ編みにした、年は17、8くらいで、黒いコートに身を包んだ男だ。 そしてコートの内側に、鮮やかな赤い文字で「壱夏」(イチカ)と書かれていた。 それが、彼の名のようだ。 「……この辺りには魔物の巣があるって聞いたな……近いのか?」 壱夏は誰もいない筈の、静閑とした空間に問い掛けた。 太陽の光は届かない。
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