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「あははっ! こっちだよ」
「何っ!?」
いつの間にか後ろに移動していた声に、壱夏は更に振り返る。
そこには、15、6歳くらいの少女がいた。 髪は美しい青に染まっていて、後ろで一つに縛った、ポニーテールというやつだった。 体は白いローブで覆われていて見えないが、どう見ても、華奢な、ただの幼い少女だ。
「何だお前は……いつの間に後ろに……!?」
「おっと! それ以上近づかないで」
近寄ろうとした壱夏を、右手を出して制する。
「君、自分の血と魔物の返り血で真っ赤っかだよ? ばっちいなぁ」
見ると、肩の傷口からは血が溢れ出していて、更に返り血やら肉片やらで生ゴミのような臭いが完全に移っているのもわかった。 多分、相当臭いんだろうと思う。
「……悪い」
「というか……痛くないの? 貫通してるよ」
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