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玄関で靴を脱ぎ、何故かそれを綺麗に並べてフローリングに踏み出した。
震える足で何もなくなった彼の部屋を見渡す。
そこにはもう、本当に何も存在していない。
新が居た形跡も。
新の面影も。
部屋の真ん中に寂しそうに置き去りにされた一枚の紙が目に入る。
あたしはその紙をゆっくりと手に取った。
『あず、ごめん。さよなら』
細いボールペンで弱々しく綴られた、新からの最後のメッセージ。
ごめん?
さよなら?
意味のわからない置き手紙。
そんなたった一枚の紙切れで終わりに出来る関係じゃなかったはずなのに。
「どうして……」
あたしの前から
いなくなるの?
新からのメッセージを抱きしめ、あたしはただ立ちすくんだ。
大川あずみ。
17歳。
大切な彼氏を失った。
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