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何だかんだ言いつつも、確かに永遠は、市川さん達と過ごす事が楽しそうだ。
「だから、凄く羨ましくて―…。」
そう言いながら、胡桃さんは遠い目をする。
その目には、何が見えているのか、何が映されてるのか…私には分からない。
けれど、これだけは確信を持って分かる。
《とても、寂しそう。》
ここに居るのに、ここに居ないような、儚さを醸し出す彼女。
「私には、友達と呼べる友達も先輩も居なかったわ。誰しも、私の家柄や地位に付け込む人間ばっかりだったから。」
「胡桃さん…。」
「永遠は良いよね。私と同じだって思ってたのに、いつの間にか自分の世界を広げて、誰かに必要とされる人間になってるしさ。」
自分だけが、取り残されたって、ずっとそう感じていたのかな?
「お前だって、一人じゃないじゃん。」
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