~希望の光~

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「はい、確かに。サイクロプス十体の討伐確認しました」 机で事務をしていた女性がそう言う。 本やら書類やらに囲まれたホコリの匂いのする部屋だ。 ここは王城にある十三番隊舎。 玉座などがある本堂とは別の建物で、それぞれの隊舎が四方に本堂を守るように散らばっている。 本堂に比べれば小さいが、白塗りのレンガ製の二階建て。ドアに黄金の薔薇の装飾など、所々に高級感を醸し出す十分すぎる程に立派な建物だ。 「それはそうと、お二人」 椅子に座ったまま、クロードが出した巾着を受け取った女性が目を光らせる。 沢山の本や書類は棚にしっかりとしまわれている事から、かなり真面目な印象を受ける。 「なっ、何?エスナ」 クロードが顕著に動揺を見せるほどその瞳は鋭い。 セミロングの艶のある黒髪、きっちりと真ん中で分けた前髪を青い髪留めで片方とめている。 きつい印象を受けるが、かなり整った顔立ちの美しい女性だ。 「お二人の実力を考慮すると、もっと早く帰られたはずと思いますが?」 核心を突いた言葉に二人は思わず視線を逸らす。 反論しないことを見て肯定とみたのか、エスナは露骨に溜め息をつく。 「まったく……今月も減給ですね」 「いや、待てエスナ!今月減らされると本気で困るのだ!」 「問答無用です」 必死にエスナの肩を掴んで食い止めようとするが、当の本人は表情一つ変えずに何やら用紙に書き始める。
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