暑い空気と冷たい木の棒

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去年の夏はどうだっただろうか。 特に悪かった事もなかった。 特に良いこともなかった。 まあ、そこまで詳しく記憶に残っていなかった。 美由は顔を上げる。まぶしい。 今日、このベンチでまぶしい太陽を見たことまで 今年の夏のことを一生覚えていられるような気がした。 毎年夏の時期は同じ長さ。でも今年は質が違う。 特に美由は友達が少なかったりした訳でもないが 今年は居心地のよい場所を見つけたのだと思う。 こうしてただ、友達とアイスを食べるだけでどんなに幸せか。 アイスのように当たりはずれで時間を判定していいものだろうか。 もしいいとしたら今年の夏は当たりだ。アイスが一本もらえる。
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