暑い空気と冷たい木の棒

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「ごめん遅れてーっ」 遠くからの大声で視線を直線に前へ持って行く。 ずっと待っていた本人がやって来た。 「隆、おせーぞ!」 「ごめんっDS見つからなくて!」 走る彼の腕の中で小型ゲーム機が踊っている。 腕から飛び出しやしないだろうかと 見ているこっちがヒヤヒヤしてしまった。 「おっ当たりっ」 彼女が口から出した木の棒には当たりの文字。 「美由も早く当たり出さなきゃ!」 「わかったわかった」 夢中でかぶりつけば、輝く水色から木目が覗く。 さて、そこには文字が彫られているのだろうか。 確信などないけれど当たりのような気がした。 やっぱり 今年の夏を当たりはずれで示すなら 私は「大当たり」と平たい棒に彫ってみたい。 アイスは何本もらえるのだろうか。  END
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