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とあるビル街、時刻は夜の九時頃、地上はビル等の明かりや街灯でまだ明るい。だが空は墨のように漆黒に染まっている。その空を疾走している二つの人影があった、“人とは思えぬ身体能力でビルの上を飛び移りながら”。
「先輩~まだ見つからないんッスか~」
人影の片方、肩まである金髪の毛先を少しカールさせている女性がもう片方の人影に尋ねた。
「オペレーターによると、この辺りなんだがな~……」
それに答えるもう一つの影は、腰まである黒髪を後ろにひとくくりにして垂らしている、長身の女性である。
二人とも空に溶け込む様な、黒いライダースーツの様な服装をし、片耳にインカムを着けている。
「早く見つけないとまずいッスよ~結界張らなきゃ被害甚大ッス」
「わかっている! とにかく周りの気配を細かく感知しろ」
ビルの上を飛び交いながら二人は普通に散歩しているように話している。明らかに日常的な光景ではない。
とそこで二人が言い合っていると、黒髪の女性のインカムがピピッと音を発した。
「なんだ、オペレーター?」
『ライトレスの詳しい位置が出ました』
女性がインカムのボタンを押すと、彼女たちの言うところのオペレーターからの連絡であった。
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