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「よし、行くぞー!」
「了解ッス先輩!」
と、二人は言われた方向にまた人並み外れた動きでビルを飛び交っていった。
時間は少し戻り、夜八時頃、ビル街郊外の住宅街の道を一人の少年が歩いていた。
「はぁ~今日はたのしかったなぁ~」
少年の名は田宮 海、高校二年生である。
ただいま9月、彼は今日先ほど、文化祭の打ち上げが終了し、友達と別れて帰途についていた。
「つっても文化祭も終わったし、そろそろ中間テストの勉強やりはじめなきゃなぁ~めんどくせ―」
そんな一人言を呟きながら頭の後ろに手を組み、少し上を見上げながら家の近くの公園まで歩いてくると
「んっ、なんだあれ?」
公園の真ん中で蠢いてる黒い塊が彼の目に入った。
「野良犬、にしちゃでかいよな……」
その塊は小さな物置ほどの大きさがあり、海の方に背を向け何かを貪っているようだった。
(なんかヤバそうなものだな…)
そう思い、そこから離れようと後ろに後ずさると
カンッ
(ヤバッ!)
小石を蹴ってしまった。
恐る恐る塊の方を見ると
「グルルルル……」
ゆっくりとこちらに向きを変え、塊の顔らしき場所にある金色に光る目が海を捉えていた
「グルルルル……」
塊は再度唸るとゆっくりと海の方に向かってきた。
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