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「うっ……ぁ……」
海は、その普通の生物には見えない異形の物が、自分の方に向かってくると言う状況に頭がついていかず、声を出そうとしても声にならずそこに立ち尽くした。
「グラアアァァ」
海の金縛りを解いたのは塊の咆哮だった。
ハッと我に返ると既に塊との距離は5m程。
「うわわわぁー!」
やっと気の抜けた悲鳴の様な声が出て、海は全速力で逃げ始めた。
しかし塊はスピードを上げてるように見えないのだが、海の後ろにぴったり追い付いてきており、たまに飛びかかる様な動作までしてくる。
(マジで! 俺の人生ここで終わりかよ! つか何だよあれっ! 生きもんなのか?)
そんなことを考えながら走ったが、体力の限界がきてしまい、
(あっ)
ズザァー
段差につまずき転んでしまった。
「いってー……」
そして後ろを見るとすぐ近くに塊の顔が……
「くっ……」
立とうとしても腰が抜けたのかできず、もう無理だと思い目をつむった。
…………
(……?)
しかしいつまでも経っても衝撃が来ない。ゆっくりと目を開けると目の前には金髪で黒いライダースーツを着て、手に金属製のグローブをはめた女性が紅い丸い光の盾を張り、塊の攻撃を防いでいた。
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