1.世界の裏側

5/15
前へ
/332ページ
次へ
「うっ……ぁ……」 海は、その普通の生物には見えない異形の物が、自分の方に向かってくると言う状況に頭がついていかず、声を出そうとしても声にならずそこに立ち尽くした。 「グラアアァァ」 海の金縛りを解いたのは塊の咆哮だった。 ハッと我に返ると既に塊との距離は5m程。 「うわわわぁー!」 やっと気の抜けた悲鳴の様な声が出て、海は全速力で逃げ始めた。 しかし塊はスピードを上げてるように見えないのだが、海の後ろにぴったり追い付いてきており、たまに飛びかかる様な動作までしてくる。 (マジで! 俺の人生ここで終わりかよ! つか何だよあれっ! 生きもんなのか?) そんなことを考えながら走ったが、体力の限界がきてしまい、 (あっ) ズザァー 段差につまずき転んでしまった。 「いってー……」 そして後ろを見るとすぐ近くに塊の顔が…… 「くっ……」 立とうとしても腰が抜けたのかできず、もう無理だと思い目をつむった。 ………… (……?) しかしいつまでも経っても衝撃が来ない。ゆっくりと目を開けると目の前には金髪で黒いライダースーツを着て、手に金属製のグローブをはめた女性が紅い丸い光の盾を張り、塊の攻撃を防いでいた。
/332ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1214人が本棚に入れています
本棚に追加