病院での誕生日

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岡山医大へ転院する前の病院では、たくさん友達がお見舞いに来てくれて嬉しかった。 管も一つ一つ取れていき、徐々に身軽になっていく。 そして、9月1日になった。この日から学校が始まるのだが、私はいまだに退院できずにいた。 この日は始業式だけではなく、私の17歳の誕生日だった。Seventeenの誕生日をまさか病院で迎えるとは一年前の私は予想もしなかったことだろう。でも、ケーキもまだ禁止で食べることはできなかったから、本当につまらない誕生日だった。 お父さんが病院に来てくれて、即座にその場にいた母親が家に帰った。お父さんと病院で二人きり。その時のお父さんは本当に暗かったので、何も知らなかった私は「いったい何があったの?」と思っていた。 親しくなった患者さんには、泣きながら「この子がこんな事になったのは、私が早くに気がついてやれなかったからなんです…これは私の人生最大の汚点です。」と話していたのを偶然に聞いてしまったことがある。 そのころの私は何も知らなかったので、こんなに大げさな父親はいないと思ったし、逆に恥ずかしくてやめてほしかったが、なんか引っ掛るところがあった。
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