そのいち

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「なによそれ?だいたぃ…」 不思議なもので事実とは小説より奇なり…あばれようとした少女に横を過ぎる車が思いっきり水を跳ねる💦 「なっ……💧」 恐らく絶句と言う顔はこうなんだろうと小学校の授業で習うぐらい見事な顔をしていた 「あ~あれだよ…」 少年は気を利かせて 「水もしたたる良い男じゃないか」 「どこがじゃあぁ‼」 ついにキレた少女が傘を奪い振り回しながら少年を殴りつける 「皇も濡れろぉ‼」 傘を振り回すもんだから雨は体に当たるし傘がばしばし頭に当たるし終いには傘が骨を逃れて飛んでいく始末… 「あ」 「あっ」 「ここまで濡れたら一緒だって」 気さくに少女は肩を叩き何も見なかった事にした 「そうだね」 少年は震える手で笑顔を作りながら 「なわけねぇ💧姉貴の傘なんだよ💦壊したとか言ったら殺される💧💧」 心底恐怖した顔はそれがまさに恐怖の具現であるとばかりの表示で飛ばされた傘を見つめる 「ごめんなさい💦」 少女も皇の姉がどんな人物かは知っている だからこそ素直に謝るしかないことも知っている 「私も一緒に謝るから💧ごめん」 だが…少女は皇と姉の喧嘩は本人には言えないが嫌いではなかった スッキリした喧嘩と言うか後腐れのない……正しく制裁、その光景はある意味町内の名物だった。恐らく自分以外も近所中の人間がそう感じているだろう 「はぁ😖」 項垂れる少年と含み笑いの少女…夕立の雨の中それは不気味過ぎた…… 主婦A「奥さん、あれいじめじゃないかしら💦」 主婦B「まぁあの男の子も可哀想にに」 主婦C「けど男の子なら言い返さなきゃ」 主婦B「もしかすると男の子はあれで喜んでたりするのかもしれないわよ」 主婦AC「そうね、ほっときましょう」 自己完結させ満足した主婦の方々はこれから戦場へ向かう…夕方6時のスーパーへ 隣に居るのは戦友であり強敵……ヘソクリの為に1円でも安く……そんな平和な街だった。この雨の日までは……いや本当はもっと前からかもしれない
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