第1章 ラストステージ

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外は雪が降っていた。 夜の闇が白く染まるほど、とても激しく降っていた・・ 友達と遊びに来たはずのリゾート地の洋館の中、 私は今、呆然とたたずんでいる。 ・・いや、たたずんでる暇は無い。 部屋には死体が一つ。 もう今日一日で何度も見てきた人間の死体。 ・・生き残ったのは私だけなのか? いや、まだいる・・はず。 そいつがみんなを殺した犯人だろう。 一体誰が何のために殺してるのか? みな殺しが目的なのか? わからない・・わからないが、 もう生きている人は少ない。 必然的に犯人もわかることだろう。 ひょっとしたら生きているのは、もう私と犯人だけかもしれない。 私は生き残っている人を探すため、部屋を後にした。 例え、そいつが犯人であろうとも、 逃げ回るのはもうやめたのだ。 歩くたびにキシリ、キシリと泣く板張りの廊下は自分の居場所を犯人に伝えているようだ・・ その時だった 自分の後ろからキシリと音が聞こえた気がした。 私はとっさに後ろを振り返ろうとする・・ 「死ね!殺人鬼!」 聞き覚えのある女性の声が振り返ろうとした私の耳に響いた瞬間、 とめどもない、痛みが後頭部を駆け抜けた。 「痛っ!!」と言うか言わないかの内に、 痛みが和らいでいき、体の感覚がなくなっていくのが、わかった・・ 私・・死ぬ・・? 薄れゆく意識の中、ボヤけた女性の人影。 その女性は更に私を「この、人殺しめ!」と狂気じみた声で何度も叫びながら、殴り続ける 私は・・犯人じゃ・・な・・い・・・ 私はその場に崩れ、もうろうとする中、昨日からの出来事を思い出してみた。 もう一度・・もう一度、最初から推理してみよう・・ 何かわかるかもしれない。 大事な何かを見落としているような気がする・・ そう、私はこの館、「小夜館」に休日を利用しスキーをするため、友達の理子とやって来た。 悪夢はここから始まったのだ・・・
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