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さよならのひと
甘く香るワックスの匂い
その茶色い髪を弄ぶのが好き
絡めた指先が少しべたついて
甘い甘い舌先は
何故かいつも冷たくて
蛇年だからかな なんて
あたしを猫みたいと
撫でた
おっきなあなた
ほら
幸せばかりだね
隣のあなたがなにを思っているのか
知ることもなかったことも
それでもその腕に
必死でしがみついたことも
あのときあたしが
なにを思っていたのかも
なにも
なかったみたいに
つよいひとだと
思ってごめんね
あなたが
つよいひとだったのか
もうわからないけど
あたしには
そうみえてたんだ
ちょうど
あなたの目にあたしが
つよいおんなに
みえていたみたいに
あたしもあなたも
さよならのひとなのにね
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